2021年12月31日金曜日

ゆく年くる年 2021

今年最後のチェックインを無事に終えて、ホッと一息ついています。
昨年同様、ゆっくりと雪が音もなく降り続いています。でも、去年とはその景色を違った感覚で眺めている自分がいました。
1年前は本当に諦めと絶望の縁に立ち、その雪を風を川の音を目に映るすべてを恨み、その年を振り返ることそのものに無念さを感じていました。

誰にも共感される事もなく、ただただ孤独でとにかく明日のことは明日になったら考えようという心もちでいたように記憶しています。

何よりもごく当たり前の事が「本当にちゃんとできるのだろうか?」という毎日を約2年間続けてきたように思います。それは未だ変わるものではありません。

いつものお客様がいつも通りに来て下さる。大晦日から正月三が日までご滞在の皆さんとお正月を楽しむ。1月10日に疲れが出てきて必ず風邪をひく。
今思えばそうやってずっと同じようにやってこれた事に感謝です。
去年はそうはいきませんでした。だから今年からやり方をかえました。
どんな事があっても変えない!という考え方を変えたのです。

外的な環境変化で辞めざるを得ない事があればショックを感じると思いますが、長く続けなければならないものを勘違いする事そのものがストレスなのだと思います。

本質を見いだせないまま長く続けてきた事に意味はありません。積み重ねて来たものとただ慣れているくらいの違いがあると思います。代々受け継がれている慣習などに良くあります。永続するものには必ず哲学と実行するための技術力があります。

哲学だけでもダメ。技術力だけでもダメです。時代の変化に対応できる精神力や自らの変化を楽しめる伸びしろを実感できた1年であったと思います。


「哲学への道」
私達の先祖がこの地に辿り着き、宿を構えるまでの葛藤。長い歴史の中で培われてきた生き抜く知恵と力。山への信仰心。家族との別れ。繁栄と衰退の時代。考えればきりがなく、どんな困難にも耐えてこの宿を守り抜いてきました。
哲学なくして何かに耐える事は決してできません。
この地で脈々と受け継がれる主としての重圧。面白おかしくやっているわけがありません。
思いつきではじめた商売でもない、ビジネスの勝者になろうとしているわけでもありません。
私の前にも後ろにも峩々温泉があるという事実のみなのです。
もっと言えば私よりもむしろ峩々という地を知る旅人の皆さんと山の営みを共有したいと考えます。
全てのお客様が蔵王への尊敬心、温泉宿がそこに存在している事そのものに心から感謝の気持ちをもって訪れる。湯を守り、旅人を迎える者に最大限の敬意をはらう。
私達はそんな旅人のかけがえの無い時間を特別なものにしたいと願う。
心静かに穏やかでゆっくりとした時間を心からありがたいと喜び合う。そういう場所なのです。
自分がああしたいこうしたいとするのは経営者の自由です。自由だが何も生まない。時間の浪費とも知らずサービスとの等価交換で金を手にすることができます。しかしながらその逆で、自らのこだわりや無意味な慣習を捨てる事で本質が見えてきます。
自己満足でしかない宿主のこだわりを、わからない人に押し付ける事は容易なことです。またそれをお金と時間を使ってありがたがる人達も大勢います。コロナ渦においてもなおです。
この思いをしてもなお、また元の生活に戻りたいと思う。戦後の教育がそうさせたのかは定かではありませんが、近年人間は精神的に弱体化している事は確かなようです。
そう思えば思うほど、この山懐でどっしりと旅人を待ち続けることのできる人間になりたいと切に思います。


「求めず、辞せず」
誰しも地位や名誉は欲しくて欲しくてしょうがない。私はそのような欲はありませんと言っても嘘だと思います。そのポストに付けば様々な恩恵が受けられる。あなたはどうですかと言われたら思わず手を上げたくなるものです。またその逆もしかりです。
辞めない事はとても難しい。では、いったい何のためにという事になります。
それは他でもなく誰かのためなのだと思います。
「家族を守るために一生懸命働いています。」よく聞く働くお父さんのフレーズです。周りを見渡せばそんなお父さんばかりなのに、一向に世の中が良くならない。それはなぜなのだろうか。
モヤモヤとした思いが残るのは、何かにしがみつこうとしている人とその嘘で塗り固められた面の皮をはごうとしている人ばかりをテレビやネットで見せられているからなのかもしれません。テレビは特に面白くありませんね。

求めず、辞せず、私は潔い生き方ができるだろうか。


「第二創業期がいよいよやってきます」
東日本大震災や蔵王噴火騒動、そして新型コロナウィルス襲来を経て迎える「理念の革新」。
まさに第二創業期に向けて進みださなければならないと確信しています。
私が峩々温泉に戻り、早いもので20年。時間を掛けて先代の負の遺産を整理整頓してきました。ようやくゴールが見えてきました。最終章を経て峩々温泉は再び創業します。あと2年ほどはかかりますが、先が見える分ワクワクと安心感が半分半分です。
この年月を掛けて知らず知らずに身に着けられたものがどれだけあるのか。あと少し、自らの成長を目の当たりにできるうれしい時間になれば幸いです。


来年は本を沢山読む。旅をする。もっともっと人を見送る。
そんな1年にします。


本年も本当にお世話になり、ありがとうございました。
また来年、元気でお会いしましょう!

2020年5月23日土曜日

種プロジェクト

当館はこの度、旅館サポーター制度「種プロジェクト」に参加させて頂きました。
詳細は種プロジェクト公式Webページを御覧下さいませ。


旅館サポーター制度

将来の宿泊に、いま支払う
武漢発の新型コロナウィルスの影響で、日本のほとんどの宿泊施設が大量キャンセル、新規の予約は激減という窮地にあります。
将来の宿泊のために、いま支払いませんか?これは自分の好きな旅館のサポーターになり、将来の宿泊料金の一部を前払いする制度です。そこで働くみなさんにささやかながら安心を届けられるかもしれません。「必ず泊まりに行きますよ。」の応援メッセージとともに、お金以上のものを届けましょう。
(種プロジェクト 公式Webページより)



サポーターの皆様から毎日のように励ましのメッセージを頂戴致しております。
日々の励みになり、本当に感謝をしております。
創業から150年もの間、様々な自然災害と向き合い共存してまいりました。
私どもは「守る」「耐え抜く」という事を継続している中に美しさを見出してまいりました。
この場所に峩々温泉が存在することそのものの美しさ、その意義を改めて考えさせられております。



3月以降、いつも通りの営業ができず悔しい思いをしております。
雪解けの季節でございますので、山から勢いよく清流が流れ、温泉の湧出量も多くなります。
そんな中、湯は浴槽に張られるでもなく川に流されていきます。
その様をただ黙って見ているだけ。一人でも多くのお客様に良質な温泉をご利用頂きたい。そんな思いも虚しく、ただ時間の経過を待つだけでした。
しかしながら足踏みをして時を止めているだけでは、この経験が生かされることはありません。
コロナ前に戻っても何も得るものはございません。
何を残し何を変えるべきなのか。今まさに勇気を持って取り組まなければならないと実感しております。
永続を目的とした宿づくり、家業としてのあり方をブレのない意志で繋げていきたいと考えを改に致しました。
脈々と続く「峩々温泉ファン」の皆様のご期待を裏切らぬよう頑張ってまいりたいと思っております。
現在は県内のお客様を対象にご宿泊のご予約を頂いております。
ゆるやかに営業を再開致しましたので、ゆっくりとお休みにお運び頂ければ幸いでございます。
ご来館を心からお待ち申し上げております。
(サポーター様にご返信致しましたメッセージより)





2019年8月19日月曜日

星空写真館

お盆期間はなかなか天候に恵まれず、開催を断念した日もございました。
場所を変えながらベストな環境で星空を鑑賞していただきました。
私個人的にはこの短い時間の中で、お客様をご案内しながらお話をする事が本当に好きです。
蔵王の自然や温泉の話しに始まり、お子さんの学校の事や仕事の話しや地域の町おこしなどなど多岐にわたります。
宿の中では決してそのような内容までは話さないような事でも、星空の下でついつい花が咲き帰りの時間が遅くなってしまうこともしばしば。
お客様との大事な語らいの時間。
これからも大切にしていきたいと思います。
 













 ※お客様の許可を得て撮影、掲載をしております。


2019年8月8日木曜日

星空鑑賞ツアー2019

8月に入り天候が安定してまいりました。
梅雨明けが宣言されてからというもの、毎晩のように好天が続いております。
山頂付近は温度差の関係からガスが発生しやすく、コンディションが整うことが少ないです。雨が降っていなくても雲に覆われていたり、深夜にかけて晴れたりと見極めが難しいですね。
先日来、撮りためておりました「星空写真館」。旅の思い出にとシャッターを切らせて頂いております。
 

 


 




















ご参加をご希望のお客様は、予めご予約を頂くかチェックイン時にお申し付けくださいませ。

※お客様の許可を得て撮影、掲載させて頂いております。

2019年7月20日土曜日

JR日本「地・温泉-The ONSEN」公式動画チャンネルのご紹介


JR日本「地・温泉-The ONSEN」公式動画チャンネル

地・温泉は、その地に根ざし地元の人たちから昔から愛されてきた湯。
かつては湯治場だった、という一軒宿が多い。
大規模ではなく、もてなしがすみずみまで行き届く規模。
宿の人たちとも話や笑顔が行き交う、そんな気さくな宿。
部屋にも、風呂場にも木の温もりがあり、心からくつろげる。
もちろん、湧き出る湯は“かけ流し”もしくはそれに準ずる、本物の湯でなければならない。
そして、食事は“地”のものが、愛情こもったその地の流儀で供される
───そんな湯だけが“地・温泉”という称号を得ることができる。(公式サイトより)




GAGAONSEN official English Web site


The English site of the hot spring Hotel GAGAONSEN was completed.

Touji means to cure body and spirit with hot springs.
GaGa-Onsen is an isolated inn in the heart of  Mt Zao.
If you like hot spring and great nature, here is the right place!

GAGAONSEN official English Web site 




2019年6月8日土曜日

仙台・青葉まつり 2019


先日の「仙台・青葉まつり」でのひとコマ。
出店当日は何かと忙しく、なかなか写真を撮る暇がないのでこれ1枚です。
当日は伊達武将隊や支倉常長隊が市民広場を盛り上げて頂きました。
毎年なのですが、ゆっくり祭りを楽しむ時間がないので「お囃子」だけが耳に残り、しばらく余韻に浸っておりました。
いつも大勢のお客様にご来店を頂き、本当に感謝をしております。
また来年も市民広場に出店致しますので、ぜひ足を運んで下さい。
よろしくお願い申し上げます。