2012年6月19日火曜日

新藤兼人監督の遺作「一枚のハガキ」


先日レンタルDVDで一枚のハガキを見ました。
とても心に残る、素晴らしい作品でした。
偶然にもその翌日にNHKのドキュメンタリーで新藤兼人監督の追悼番組が行われ、その映画と共に歩んだ人生と戦争体験が克明に描き出されていました。

戦争によって山村の小さな家族は次々と破滅していきました。そして人間の人生を大きく変えてしまう恐ろしさと生き残った者の葛藤と苦しみ。しかしながらそれを自らの手で作り出したもの人間の業。
監督はその愚かさとはかなさを脚本に込めたのではないでしょうか。
また、女性が強く生き抜く姿も大きなテーマとして表現されています。
地に足を付けて、自分自身の生き方をしっかりと持つ事の大切さを改めて考えさせられました。

人間が人間らしく人生を全うする。この映画にはそのメッセージが強く込められていると思います。
100年生きた新藤監督は、震災後の世の中を見通してこの作品をリリースしたのではないかと、そんな事さえ思いました。
世の中がどのように変化しようとも、自らの強い意志で生きて行く事は人間の大きな能力なのかもしれません。そして、それに従って一生懸命に生きてきた足跡の事を「生き様」と呼ぶのでしょう。


一枚のハガキ【DVD】
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